OpenBEPが必要な理由
曖昧なBIMは役に立たないBIMです。
私たちの経験では、多くの発注者は「BIMで」と求めるだけでCADからBIMへ移行しました。モデルを何に使うのか、どのBIM活用が必要か、各当事者が何をいつまでに納入すべきかを示していません。その結果、各社が独自のやり方でモデルを作り、モデル同士が連携せず、発注者の手元には誰も使わないファイルが残ります。
OpenBEPは無料のオープンなツールキットです。発注者が実際に必要とする活用から出発し、そこからBIM実行計画書(BEP)、各要素の詳細度(LOD)、各要素が持つべきパラメータ、各マイルストーンでの確認項目を導き出します。
BEPとは、発注者のBIM要件を、誰が何を、どの詳細度で、いつまでにモデル化し、どう確認するかに落とし込む文書です。
5つのポイントで見る問題点
- 発注者は、BIMを何に使うのかを示さずにBIMを求めています。
- 発注者ごとに、独自の定義、テンプレート、契約条項を作成しています。
- 進捗は主にプロジェクト数で数えられ、成果では測られていません。
- 引渡し後に建物を運用する人々に、データが届くことはまれです。
- 公式課程が追いついていません。建築技術者向けのカレッジ課程は2004年のもので、BIMに触れていません。
OpenBEPの答えはこのページの後半にあります。発注者が必要とする活用から出発し、そこから計画、要件、確認項目を導き出すことです。
これらは構造的なギャップであり、誰かの悪意によるものではありません。以下のエビデンスの多く、特にケベック州のものは、発注者自身が公表したものです。その率直さこそが、改善を可能にします。
エビデンスが示すこと
ケベック州では
- 政府のロードマップ(2021–2026年)は、公共インフラプロジェクトでBIMを必須とすることを目指していました。しかし、各公共発注者はそれぞれ独自の道筋を定めます。« Chacun établira ainsi sa propre feuille de route »(各機関がそれぞれ独自のロードマップを定める)。1
- 進捗は件数で報告されています。「BIMによる」プロジェクトは1年で182件から265件に増え、移行が進んでいる証拠として示されました。2 何をBIMプロジェクトとみなすかは発注者ごとに異なります。モントリオール市は、設計者や施工者が自主的にモデルを作成した「試行プロジェクト」と、市のBIM要件を適用するパイロットプロジェクトを区別しています。同市の建築プロジェクト19件のうち、BEPと専任の支援を伴うパイロットは2件です。2 ケベック州交通・持続可能なモビリティ省は、23件のプロジェクトを自らのBIMロードマップの最初のマイルストーンである3D設計と説明しており、効果を数値化するのは時期尚早だとしています。2
- ロードマップの一環として行われた指標調査は、この推進が« une hypothèse d'amélioration avec peu de données probantes »(改善を前提としているが、実際の成果を示すエビデンスはほとんどない)に基づいていると述べています。3 聞き取りを行った5つの発注者はいずれも、実績データを少なくとも一部は手作業で、主にExcelで入力しています。3 この調査が17の指標を選んだのは、ロードマップ終了後の2026年4月であり、比較に使える信頼できる過去のデータがないことも指摘しています。3
- 各発注者は今も、BIMに関する契約上の定義を独自に作成しており、発注者の法務・契約ワーキンググループは共通の定義を求めています。4 オープンBIMは« naturellement souhaitable »(当然望ましい)とされていますが、必須ではありません。5
- すべての公共発注者向けの共通BEPテンプレートは2024–2025年に作成が始まり、ロードマップの5年目に提供されると約束されていました。2 発注者による2026年の要件テンプレートには、BEPテンプレートが「作成済みで利用可能」であり、各発注者が適宜調整できると記載されています。19 2026年10月時点で、ロードマップの公開ページでその公表を確認できませんでした。
- モントリオール市のある設計施工一括契約では、入札公告がすでに出された後でBIMパイロットが発表されました。6 市の契約審査委員会は、手続きに問題はないと判断しました。この例は、入札がすでに始まってからBIMパイロットが発表されたことを示しています。
- 教育省の建築技術に関する公式カレッジ課程(DEC 221.A0)は2004年のものです。その能力要件のいずれにも、BIM、デジタルモデル、モデリングソフトウェアは含まれていません。7 Revitを教えているカレッジもありますが、それは各校の判断であり、必須ではありません。
- 発注者は今後の方向性で一致しています。2025年版ロードマップでは、すべての関係者が5年目以降も取り組みを継続・強化する必要があるとし、その中に« l'adoption de normes communes »(共通規格の採用)が含まれています。2
カナダでは
- カナダは2024年、BIMの情報マネジメントに関する国際規格をCAN/CGSB/CSA-ISO 19650として採用しました。8 手法はすでにあります。問題は、発注者がそれを使うかどうかです。
- この採用規格を発行した連邦機関であるカナダ一般標準化委員会(Canadian General Standards Board)は、2026年4月1日に規格開発を終了しました。9 規格名にはCGSBとCSAの両方が含まれていますが、同委員会の活動終了後に誰がこの規格を維持管理しているかを示す公開情報は見つかりませんでした。
- 2020年、連邦政府の不動産サービス部門は、保有資産のうちデジタル化されているのは8%であり、「最大のギャップはレガシーデータとBIMにある」と述べました。10
その他の国・地域
- 英国:ある施工者のデジタル部門責任者は、自身が見たプロジェクトのうち、本当に信頼できる情報要件を備えていたのは5%未満だったと推定しており、その結果プロジェクトは「発注者のニーズや目的に役立たないアウトプットに多額の費用を費やしている」と述べています。11 また、発注者が引渡しデータを受け取っていながら、維持管理の請負者が同じデータを再び収集するための費用を受け取っていた事例も複数報告しています。11
- ニュージーランド:保健省は2件の病院プロジェクトでLOD 250以上のBIMを義務付けましたが、その後「現時点では発注者に実質的な利益をもたらしていない」と判断しました。挙げられた課題の一つは、モデルがプロジェクトの実施と干渉チェックにのみ使われ、資産管理には使われていなかったことです。12
- Crossrail(ロンドン):事業主体は統合された資産データに関する要件を何も設定しませんでした。プロジェクトの共通データ環境(CDE)は運用段階に引き継がれず、運営事業者は必要なデータだけを自社のシステム(その一つは表計算ソフトベース)に取り込み、共通データ環境そのものはアーカイブされました。13
- 効果が測定されることはまれです。英国のある調査では、回答者の49%がBIMの効果をまったく測定していないと答えました。14 英国政府の委託による効果調査は2件のプロジェクトを対象とし、コストを差し引く前の便益のみを推計し、BIM導入のコストを含めていませんでした。15 2018年の英国National BIM Reportでは、回答者の14%がBIM義務化はまったく徹底されていないと答えました。16
- 規格には、それを維持管理する機関が必要です。デンマークは2007年に建築分類を規則に盛り込みましたが、それを維持管理できる機関がありませんでした。業界は維持管理の主体(所有者)がいないと警告し、2010年に不適切と判断され、2013年に規則から削除されました。1718
うまくいく方法
成果を上げている事例には共通点があります。発注者が必要なものを定義し、契約に書き込み、それを確認していることです。
- ケベック州の公共発注者自身がすでにそう述べています。2026年の共通要件テンプレートには、« la clé d'exigences BIM réussies est leur clarté, leur spécificité et leur alignement avec les objectifs du projet »(BIM要件を成功させる鍵は、明確さ、具体性、プロジェクトの目標との整合である)とあり、入札者には入札時と受注後にBEPでこれに応えることを求めています。19
- SQI(ケベック州インフラ公社)は、ガイド、契約要件書、BIM活用の辞書、情報レベル、12の活用を定めたBEPテンプレートからなる公開資料一式を公表しています。20 SQIは、« des exigences claires et précises »(明確で正確な要件)を定めるのは発注者の役割だとしています。21 その辞書では、BIM活用を« un ou des besoins du donneur d'ouvrage »(発注者の一つまたは複数のニーズ)を満たす手段と定義しています。22 ニーズが示されなければ、活用もありません。
- Metrolinx(オンタリオ州)は独自の情報要件を公開し、ISO 19650に基づく納入と入札時のBEP提出を求め、BEPテンプレートを提供しています。23
- 香港では、認定BIMマネージャーがBIMチームを率いることを義務付けており、2025年4月以降に公告される入札では、入札図書に含まれる設計モデルが契約上の拘束力を持ちます。2425
- 測定している発注者は、成果を示すことができます。ノルウェーの道路庁は、現地調査に基づき、BIMプロジェクトで建設費の平均11.5%の純削減を報告しました。26 Hydro-Québecは、あるBIMプロジェクトで変更額がプロジェクト費の3.6%だったと報告しており、同種の従来型プロジェクトでは15%~18%でした。1 英国のある刑務所はベンチマークを約20%下回るコストで完成しました。BIMは、2段階オープンブック方式の調達や専門工事業者の早期選定を含む一連の施策の一部でした。発注者は「BIMのためのBIM」に陥らないよう注意を促しています。2728
OpenBEPの取り組み
- 活用から始める。発注者は、すべてのフェーズを通じて必要なBIM活用を選びます。他のすべてはそこから導かれます。
- 約束ではなく計画を。BEP Builderは、選んだ活用を、成果物、期日、責任分担、承認を備えた計画に変換します。
- 要素ごとの詳細度(LOD)。各要素には、その活用に必要な形状と情報だけを与え、それ以上は求めません。
- 共通のパラメータリストを一つに。カナダ向けのRevit共有パラメータを一つのリストにまとめ、英語とフランス語のラベルを付けています。
- マイルストーンごとのチェック。モデルを計画と照合し、スコアカードで誰が何を納入したかを示します。
- オープンで無料。コードとテキストはオープンライセンスのため、どの発注者でも利用・改良できます。
無料で、ブラウザ上で、アカウント不要で使えます。
出典
以下のリンクはすべて、2026年10月19日に開いて確認しました。ページ番号はPDFのページです。数値が自己申告である場合や第三者による報告である場合は、本文にその旨を記載しています。
- Gouvernement du Québec, Feuille de route gouvernementale pour la modélisation des données des infrastructures (2021-2026), mise à jour au 31 mars 2024, p. 3, 20, 62.
- Gouvernement du Québec, Feuille de route gouvernementale pour la modélisation des données des infrastructures (2021-2026), actualisée au 31 mars 2025, p. 4, 16, 23, 32, 51.
- FdR-BIM Gouv., Identification des indicateurs de performance et des stratégies pour leur opérationnalisation, 2026, p. 7, 13, 22, 37.
- FdR-BIM Gouv., Plan d’action pour le développement de ressources contractuelles pour la mise en œuvre du BIM dans les contrats publics, 2025, p. 4.
- É. Poirier, C. Arnould, Les principes du BIM ouvert et de son application dans les projets publics, 2025, p. 25.
- Ville de Montréal, Commission permanente sur l’examen des contrats, Rapport d’examen de la conformité du processus d’appel d’offres, SMCE259551001, 2025-06-16, p. 3–4.
- Ministère de l’Éducation du Québec, Technologie de l’architecture, programme 221.A0, 2004, p. 13.
- Standards Council of Canada, CAN/CGSB/CSA-ISO 19650-2:24, 2024-11-30.
- Public Services and Procurement Canada, Canadian General Standards Board, canada.ca.
- W. Frey, Government agency pushes property portfolio into future with digitization, Daily Commercial News, 2020-04-29 (カナダ公共サービス・調達省〔PSPC〕不動産サービスの講演の報告).
- J. Ford, Was our 10-year BIM journey a success story?, BIM+, 2021-06-17 (アーカイブ版、実務者による推定).
- P. Cunningham, Government as Client: Challenges using Building Information Modelling on NZ Construction Projects, BRANZ ER13, 2016.
- M. Taylor, Learning from Crossrail's information management challenge, Construction Management, 2024-04-08 (Crossrailの元技術情報責任者による).
- Construction Management, Tools for BIM maturity and benefits not fit for purpose, says major study, 2020-04-15 (Centre for Digital Built Britainのための調査の報告).
- PwC, BIM Level 2 Benefits Measurement Methodology: Application Report, 2018.
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- Digital Konvergens, Kronik: Store revner i Det Digitale Byggeri, Ingeniøren, 2008-12-05.
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- Construction Management, UK's leading BIM client: it works if projects are big enough, 2013-12-17.
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